37人が本棚に入れています
本棚に追加
「舞う花」
少年が
うっそうと繁った
木の下に
寝転がっている
小高い丘にポツン
とあるその木は
風にそよぎながら
村人を見守っていた
そんななか
少年は何やら寝言を
つぶやいている
そんな少年を
ムスっとした膨れっ面して
少女がまじまじと
みていた
ハァー
・・・・・
ゴーン ゴーン
教会の鐘の音が聞こえる
少女は少年を呼びにきたのであったが
できなかった
「いつもだったら蹴飛ばしてやるのに」
少年は気持ちよさそうに寝ていた
風がまた吹いている
すると
少女は近くの草をむしって空に放り投げた
草は一瞬舞った
かと思うとすぐに落ちた
手には草の匂いがツンとした
少女は再び立ち上がり
近くの花から
一片の花びらをとって
走りだした
風の中を逆に走り
いっきに丘を駆け回る
「それ」
すると今度は
花びらは
ヒラリ
ヒラリと
ゆっくり村の方へ
飛んでいった
たんぽぽの綿毛のようにはうまくはいかなかったが
今度は甲高い笑い声がこだました
そんなおり
木の方から
「うーん」
という声が耳に届くと
少女は駆けていき
今度はしっかりと蹴飛ばした
もう鐘はなっていなかった
最初のコメントを投稿しよう!