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「旅人」 ここは見知らぬ土地 風は強く 大地の赤っぽい砂を巻き上げていた 人々は貧しく 村には補給できそうな物資は何もなかった 井戸は半分ちかく砂に埋まっている 顔に砂が入らないように巻き付けてある 布のすき間から 村人の眼が向けられていた そんな折に声をかけられた 1人の少年がそこにいた 現地語で何かをいっていたが しかし男はわからなかった 男は面倒になり 鞄からアメを取り出し 少年に渡すと その場を立ち去った 木陰で男が休んでいると 先ほどの少年がまた近づいてきた 男は警戒した すると少年は笑いながら 手をさしのばした そのゴツゴツした土で汚れた手 その手にはガラス玉が大事そうに握られていた 淡い赤色をした ひどくこの土地に合う 赤土の色 少年はまた笑って 村へ駆けていった 男はいつまでも少年が消えていった方を見つめていた
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