真紅の暴走

ロリエン

蹴り飛ばされた荷物を慌てて、拾いに行く男がいた。

「なんて事するんすか…トホホ」

情けない声を出して荷物に付いた

枯れ葉や埃を払い落とす。

「…アニキに見つかったら
オイラが殺されちまうッスよ？！」

しゃがんだ姿勢で荷物の点検を済ますと

ムクッと立ち上がった。

かなりの長身だが、体つきは細く

背中には体よりも

大きな銃のような物を

背負っている。

さっきの柄の悪い男が近づき

長身の男の襟元を掴む。

「おいこらっ！お前がＰＴリーダーだろうが！」

「ゴブリン退治程度にいつまで待たせるつもりなんだ！」

「…あわゎ！暴力反対ッス！」

「アニキが帰ってくるまで、
もう少し待って欲しいッス！」

長身の男は、びくびくと震えながら

両手を上げて降参のポーズを取っている。

「ちっ！あと５分だけだ！」

「それまでに、そのアニキとやらが

来なけりゃ俺は降りるぜ」

それは、つまり武器屋のライナスから

受けたこのクエストを放棄するという事だった。

「違うＰＴに先をこされちまうぜ…全く！」

最近、ロリエンの森のゴブリン達が騒がしい。

そいつ等を少し黙らせて欲しいと。

それが今回のクエストの内容だった。