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パチン!
女が、指を鳴らすと…たちまち、赤いドレスを身に纏った姿へ早変わりした。
カオル「いたたたた…結婚?何の話?それより、あなた誰なんですか?」
女は、微笑んだ。
女「私は…ディザよ。あなたの世界とは別の世界から来たのよ。よろしく…えぇ~と」
カオル「僕は、カオル…よろしく、ディザ」
自分より、少し年上といった感じのディザ。
自己紹介を終えたディザは、ようやくカオルの上から身体をどけた。
夢の中とはいえ、名前も知らない女の人と結婚するなんて…
カオルは、ゆっくり身体を起こして苦笑いした。
ディザ「さて、夫が妻の為に身を粉にして働くのは当然だよな?」
ディザは、下心見え見えの笑みを浮かべた。
カオル「…えっと…僕に、何をさせたいの?」
ディザは、カオルの目をじっと見つめた。
恥ずかしくなり、カオルは目を逸らす。
ディザ「よう、話をする時は人の目を見て話すもんだぜ!」
ディザは、カオルの顎に指をやり、強引に自分の方へ向かせた。
カオル(うわぁ…なんなんだ、この人…暴力的だし強引だし、現実なら絶対に結婚したくないタイプだ)
等と、考えていると…
ディザは、そのままカオルの唇を奪った。
…長いキスの後…
完全に硬直しているカオルに、ディザは言う。
ディザ「探している物があるんだ。それがなければ…私は、魂だけで彷徨い続ける事になる。もしかしたら、邪魔をする奴らも現われるかもしれないけど…私にまかせな!今から、私達は一心同体。
カオルは、私の為に…
私は、カオルの為に…
……」
ジリリリリリリリリリリ…
目覚まし時計が鳴り、朝がやって来た。
カオル「変な夢だったなぁ…」
ベッドから身体を起こし、しばらく呆然としていた。
が…
ふと、手の中にあったハズの赤い石が、無くなっている事に気付く。
カオル「あれ?どこにいっちゃったんだ!?」
ベッドの上、ベッドの下を探すが…見つからない。
カオル「無い…いや、必ずこの部屋にあるハズだ。トイレにいってから、もう一度しっかり探そう」
カオルの姿が、洗面所の鏡に映る。
カオル「何、これ!?」
喉の少し下…鎖骨の間に、赤い石が輝いていた。
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