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真夜中、いわく有りげに言うならば、丑三つ時とでも言ってしまおう。
数年に一度の台風上陸で、その地は荒れていた。
強風に木々はしなり、家の窓は軋み、庭の小物や看板までが飛ばされる状況。そこに大雨まで加わったものだから、さあ大変。すでに川沿いや海沿いの家屋には、床上浸水の魔の手が伸びていた。
「大丈夫か…しっかりするんだ…」
男が右手を握り締める相手は、産気づいた妊婦である妻。
「…っ!……!!」
額から大粒の汗を滴らせ、苦悶する妻の汗を拭ってやりながら、荒れる外と時計を気にしている。
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