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「早くバレンタイン来ないかなぁっ。」
リナは夜空を見上げ、楽しげな声を上げた。
俺はぼんやりとリナの横顔を見つめた。
睫毛の先には、雪がついている。
「…寒いから、早く帰ろうぜ。」
そんな言葉しか見つからなかった。
リナはまだまだガキだと思ってた。
それは俺だけだったみたいだ。
…バレンタインなんて、来なければいいのに。
俺は心の中でそう呟いた。
バレンタインには、いつもリナが義理チョコをくれた。
それがなんだか懐かしく感じた。
「リナ。」
「ん?」
「今年も義理チョコ、くれんだろ?」
冗談っぽく俺が聞くと、リナはいらずらを考えてる子供みたいに
「内緒。」
と言って笑った。
俺は、
さっき心の中で呟いた言葉を撤回し、
バレンタイン、早く来い。
と心の中で呟いた。
END
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