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「はぁ…」
ため息をつきながら、レックスは水車小屋の前に座った。
「まだまだ先に行かないと、な…」
苦笑しながら、小さくなったトレイユを見ながら呟く。
「はぁ…はぁ…」
その時、誰かの荒い息遣いが聞こえた。
「ん…誰か来たな…」
レックスは、そう小さく言ってから物陰に隠れる。
「おい、待てよ!」
レックスから隠れた後、少年の声が響いた。
「なんでついてくるんですか!?」
その荒い息遣いをしていた人…少女がそう少年に向かって叫んだ。
「そりゃ…心配だしさ……お前はあの竜の子を守る役目があるんだろ?だからいじけて一人でどっか行こうとするのは間違いだと思うんだけど…違うか?」
その少年が、慰めるように言う。
『あれは…確か黒い鎧を着た兵士たちに襲われていた少年と…天使?』
レックスは、物陰からその少年と少女を見て、そう思った。
「そ…それは…」
少女はうつ向き、小さな声でそう呟く。
「それが御使いってやつの役目なんだろ?チビたちが心配してるからさ…早いとこ帰ろうぜ?」
その少女の様子を見て、少年はそう言った。
「…そうですわね、まぁ…感謝しときますわ」
少し恥ずかしそうに少女はそう答えた。しかし、その時…
「やっと見つけたぞ…手間ばかりかけさせよって」
機械兵士を引き連れた老人の声が響いた。
「なっ…まさかじいさんがこの兵士たちの親玉か?」
少年は武器を抜き、構えながら言う。
「左様…これは全てわしが召喚したものじゃ」
その問いに老人は、両手を広げて答えた。
「さて…御使いの天使よ、至竜の遺産を渡してもらおうかの?」
老人は少女を見て、そう言った。
「嫌ですわ。これは無事に御子様のもとへと届けるのが私の役目なのですわ」
きっと老人を睨み、少女は答える。
「至竜の…遺産?」
それを聞いたレックスは、それがなんなのか気になる様子でそう呟く。
「それは残念な答えじゃ…ならば、力ずくで取らせてもらおう…」
老人がそう言うと、後ろに居た機械人形たちが戦闘体制を取り始めた。
「くそ…っ、こんなところで…」
ライは剣を構え、相手の様子を伺う。
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