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「ふぅ……」
レックスは、体をゆっくりベッドから起こす。
「やれやれ…昨日は疲れた…」
ベッドから降りながら、そう呟いた。
「しかし…平和な街だと聞いていたのにな…」
窓から街を見つめながら、なにか嫌な予感を感じつつ、そう呟いた……
「おりゃぁ!!!」
そう掛け声を上げながら、白髪の少年ライは、機械人形を剣で弾き飛ばした。
「……」
その吹き飛ばされた機械人形は起き上がり、感情を感じさせない目でライたちを見る。
「っ…まだやるのか?」
帝国軍人のグラッドが、疲れた様子で槍を構える。
「……戦略的撤退…逃げるが勝ち」
機械人形はそれだけ言うと、目眩ましの光を放ち、逃げ出した。
「っ!?…な、なんだったのかしら…」
白髪の少女フェアが、目をこすりながら口を開く。
「わからない…って、そんなことよりあの子をっ」
慌てた様子で、リシェルの弟、ルシアンが倒れている少女に駆け寄る。
どうやらこの戦闘は、この少女を助けるための戦闘であったらしい。
「そうだね…でも、天使の治療なんてどうすればいいのかしら…」
蒼の派閥の召喚師、ミントは困ったように呟いた。
「とりあえず、パパッと傷薬でも塗っちゃえばいいんじゃない?」
「姉さん……」
リシェルが明らかに適当なことを言ったあと、ルシアンが呆れたように呟く。
「ちょっとは真面目に考えなさいよ…それにしても、竜の子の次は天使、かぁ…」
フェアがため息混じりに言ったあと、すぐにライが
「俺は普通の人生を普通に過ごしたいだけなんだけどな…まぁ、とりあえず宿に運ぼうぜ」
と言った。皆は異論が無いため頷き、ルシアンがその天使を背負い宿に向かった。
「まったく…あいつの親父くさい考えはなんとかならないのかしら……」
リシェルが一言呟いて……
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