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その後、レックスはトレイユに辿りつき、中央通りの側に建っている宿屋に泊まって、眠りについた。
そして、次の朝…
「竜の子を渡してもらおうか!!!!!」
威勢のいいオッサンの大声で、レックスは目を覚ます。
「ん……なんなんだ?いったい……」
目を覚ましたレックスは、部屋から出て、宿の一階へ行く。
「あ、お客さん、今は外に出ないほうがいいですよ?」
降りてきたレックスに気付いた宿屋の店主が、そう言った。
「…何故なんだ?」
レックスは店主に尋ねる。
「なんか…外で争いが起きてるらしいんですよ。まぁ…すぐにグラッドさんが鎮圧してくれると思いますがね。安心して待っていて下さい」
店主はそう答えた。
「そうか。なら朝食をゆっくり食べて待たせてもらうよ」
そう言うと、店主は返事をし厨房へと朝食を作りに行った。
「誰が渡すかよ!!俺はあいつらの面倒を最後まで見るって決めたんだ!!」
白い髪をした少年が、そのオッサンに反抗するように叫んだ。
この少年が、ある宿屋の主人をやっているライである。
「なにぃ?三匹も居るのだろう!!一人くらいいいではないか!!!」
また威勢のいいオッサンの声が響く。
このオッサンが、剣の軍団の将軍、レンドラーである。
「いいわけないでしょ!!!!」
白い髪をした少女が突っ込みを繰り出す。
この少女は、フェアという名前である。ライと一緒に宿屋を経営している。
「本当に、あほねぇ…」
あの夜、レックスが聞いた少女の声が、呆れたように言った。
この少女は、リシェルという、金の派閥の召喚師の卵である。
「ぬぅ…我が輩を愚弄するとは…許せん!!行け!!剣の軍団!!!」
レンドラーがそう叫ぶと、剣の軍団の兵士たちが武器を構える。
「あわわ、怒らせちゃったよ」
盾を構えながら、慌てたように少年が言った。
この少年は、リシェルの弟、ルシアンである。
「ぬ?そう言えば、貴様らの父親はどうしたのだ?」
レンドラーが、ライとフェアを見て言う。
「な!?なんで親父の事なんて聞くんだよ!!親父は今行方不明だ!!!」
ライがそう返す。
「おかしいな…以前兵士がトレイユの近くで光る剣を持った奴に撃退されたと聞いていたのだがな…」
「光る…剣?」
レンドラーのその言葉に、フェアが尋ねる。
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