本性

6/6
前へ
/37ページ
次へ
「本当にわりぃ……けどよ」 「やっぱり……」  要が何かを言う前に言葉を出す。 「やっぱり同じ。自分の思い通りに動かない奴は殴ってわからせる」 「待てって」  肩に手が置かれる。  しかし、僕はその手を払いのける。 「もう、いいよ」 「…………」 「もう……関わらないで。話しかけないで」  僕は立ち上がって要を無視するように教室から出て行く。  言い過ぎたかもしれないが、もう、この苛立ちは治まる事はなかった。  出て行った教室からは、静けさの中から大声と、机か椅子かが倒されるような音がした。
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加