登下校時は服装を正しましょう

2/7
前へ
/85ページ
次へ
      ―――チュン、チュン     遠くからスズメの鳴く声(これを聞くとチカが食べようとしたスズメが一瞬思い出された)が聞こえる。 今日も清々しい朝だ――                       ―と凄く嬉しいんだけどな。 実際はそんな訳がない。   そろそろ向こうの通りから ヤ ツ が現れる時間の筈だ。           そう。   ある時は素晴らしいまでに人からずれた思考回路で周りの人間を圧倒し、ある時はその魅力的な容姿で様々な人間を惑わす悪魔。     人は彼を「人間爆弾」と呼ぶ(何するか分からないから)。     また、実際の頭の良さはまだよく分かってないが、人と頭の回る方向が180゚とは言わず900゚くらい違うという事実は確かだ。               また、なぜ俺がそんなクレイジー野郎と一緒に学校へ通っているのかにはただならぬ事情があるに他ならない。    そして今日も、仲良く「ヤツ」―― チカと学校へ向かうのだ。               だけどチカが普通に学校に行くことなんて極稀なこと。     先週は「マンホール探検」とか言って進んでったら、得態の知れないジャングルにたどり着いたし。 昨日なんかは、溝でネズミを見付けて……。奇声を上げながら追い掛けてったまま、帰って来なかった。
/85ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加