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「――…おいおいおい。黙って聞いてりゃよぉ。お前、何様のつもりだ?」
此方に利益のない取引きなど、応じる必要は全くないのだ。
第一、ヤツの言い方は人に物を頼む言い方じゃねー。
そしたら、ヤツは何を思ったのか、ニヤリと微笑んだ。
……すっげぇ嫌な予感。
「――…酷いよ、賢人君。いくら僕が気に入らないからってそんなこと言うなんて……!!」
言って、わぁと大声で泣き出す「ヤツ」。
んのやろー。一番オーソドックな「泣き落とし」で攻めて来やがった。
一番よく使われて、一番厄介な「技」だ。
そして案の定、女子を筆頭に大騒ぎになる教室。
「サイテー。」
「信じらんなぁい!!」
「悪魔!!!」
「このロリコン!!!」
いろんな罵倒が飛び交う。
……まぁ最後のは少し聞き捨てならねぇが。
しかしやっべぇ。このままじゃヤツの思う壷だ。
と、俺が解決策を練っている間にも。ざわめく混乱に乗じて、ヤツはぽつりと追い討ちをかけた。
「……実はさ、君が無類の『猫好き』って情報が入ってんだよね。この混乱に紛れて証拠写真と一緒にバラしてあげてもいいんだけど…。
―……どうする?」
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