あの子の言葉

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当然、真那と暮らした年月は余りにも少ない。 だから手掛りになる物は、等ほとんどない。 だけど…。 真那は好きだった。 いつもこの頃散歩しに行っていたから。 それは、秋の夕暮れ。 少し寒い、桜の木の下。 私はいつも言った。 【ねぇ、真那。桜咲いてないよ?】 【いいの。桜は咲かない方が美しいから。】 その言葉が何を意味してるか分からなかったけれど、少しだけ枯れた葉を見ては、とても寂しそうな顔をしていた。
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