9人が本棚に入れています
本棚に追加
/48ページ
ベルリアは森の泉の辺りを歩いていた。
もう一度レイに会って、謝りたいな。
泉の水面がそれを慰めるかのように輝いている。
その時、数人の盗賊が現れ、ベルリアは身を隠す。
一人の盗賊が水を飲みながら言う。
「聞いたかよお前等、あのグリード様が近くに来てるんだぜ。」
その言い方はまるで、立て板に水だ。すると別の盗賊が嬉しそうに
「マジかよ!これであの憎き王国騎士団をぶっ殺すことができるよな。」
その言葉を聞いた瞬間ベルリアの奥底から怒りが沸き上がり、理性を失い、意識が途切れた。
気がつくと先程いた場所より泉に近い所にいる。何時の間に移動したのか分からない。意識が途切れたからだ。
それにしても手がヌルヌルする。思い切って手を見てみると赤い液体がベットリと付着している。
ベルリアは悲鳴を上げそうになった。何故ならそれは紛れもない
血
なのだから。
ベルリアは慌てて泉の水面に映った自分を見る。
よく見ると、頬や髪、服にもおびただしい量の血が付着している。
ベルリアは盗賊達が気になり、辺りを見回すと盗賊達は無残な死に方をしていた。
「なんで、なんでこんなことに・・・・」
ベルリアの声は震えている。
今までに侮辱されただけで見境がなくなるほどの怒りを覚えたことはなかった。意識が途切れても、それは一瞬のことだった。
でも、レイと出会ってから一日の間にアレが頻繁に起こるようになった。
アレを理性で押さえ付けることが難しくなった。まだ出会ってから一日しか経っていないというのに・・・・
ベルリアは急いで死体を埋め、泉の水で血を洗い流した。
そしてもう二度とこんなことが起きないように感情を表にださないようにしなければならない。
アレによって殺された盗賊達に誓い、またベルリアは森の中を歩いてゆく・・・・
最初のコメントを投稿しよう!