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洞窟を抜け出してから随分経った。所々に盗賊達の声が聞こえる。おそらく自分を捜しにきたのだろう。レイは見つからないように這って進む。
それでもなんとか人気が無い所へ辿り着いた。すでに息があがっている。手足を使わずに何百メートルも進んだのだ。辺りの様子を伺っていると、声が出そうになった。
高笑いしながら洞窟から出ていった男がすぐ近くにいるのだ。
急いでその場から離れようとした時、肩に手が置かれた。
悲鳴をあげそうになるのを堪え、後ろを向くと
ベルリアがいた。
「ベルリア。」
だが彼女は何もいわずナイフでレイのロープを切った。
レイは自分から離れてしまったことを謝るため、ベルリアの目を見て言った。
「ご、ごめんな。ベルリアの気持ちなんか知らずに怒鳴り散らして。」
ベルリアはただレイを見つめ返すと
「ううん。私もすぐカッとしちゃってごめんなさい。」
レイはうろたえた。
そんな目で見つめ返してくると、許せないものも許してしまいそうだ。
レイは気持ちを落ち着かせ、もう一度言った。
「この話はもう終わりな。今はあいつを倒すことに集中するんだ。もちろんその・・・・」
レイは言いにくかったが決心すると
「ベルリアの作戦を使ってな。」
たちまちベルリアは笑顔になった。今までの憂欝感を全て消し去ってくれるような。
だがベルリアは
「ありがとう。でも作戦無しで自分がどれくらい戦えるのか試してみたいから今回は作戦無しでいきましょ。」
そういうとレイとベルリアは声をそろえて言った。
「盗賊よ、私達が相手だ!」
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