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倒れこんだベルリアにファルはゆっくりと歩み寄る。
助けなければ。
そう思うよりも先に体が動いていた。ファルの背後をとるとレイは渾身の力を込め、剣を振るった。
ファルは反射的に剣で防御するがレイの一撃はファルの剣を弾き飛ばした。
ファルは必死に飛ばされた剣を拾おうとするが、もう遅かった。
レイはファルに向かって剣を振り下ろした。
そしてすぐにベルリアのもとへ駆け寄った。
血がまだ流れているため周辺が血に染まっている。レイはベルリアの体を抱えて楽な姿勢にした。
ベルリアはレイにこんな姿を見せるのが嫌らしく、すぐに立ち上がり言った。
「傷は浅かったし、私達王国騎士団は痛みに慣れているから心配しないで。」
しかしレイは慣れたような手つきで懐中から包帯を取出し、手当てをし始めた。そのレイの姿はまるで別人のようだ。
手当てが終わった頃には血は完全に止まっていた。
ベルリアには何故レイが包帯を巻く技術があるのか、それとも記憶が戻ったのかききたかったが、でた言葉は
「ありがとう。」
疑問よりも感謝の気持ちが強かった。レイもベルリアの考えを読み取ったように
「包帯を巻く技術は何故か覚えているんだ。気付いたら勝手に手が動いてて・・・・」
突然ベルリアはなにかを思い出したように声をあげた。
「ねえレイ、速く町に戻りましょ。ファルが言ってたことが気になるの。」
傷を負いながらも町のことを考えるなんて、そんなに町はまずい状況なのか。
レイが考えていると、ベルリアは傷を負っているとはおもえない速さで森を走ってゆく。
そしてたいした考えも思いつかないままベルリアの後を追う。
これから起きる悲劇の出来事も知らずに・・・・
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