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「だが王様の頼みを断るわけにもいかない。」
団長は立ち上がり、外の景色をしばらく見ていた。考えが思いついたのか、こちらに向き直るとまた話し始めた。
「ならばこうしよう、明日から十日間のうちに五十人の盗賊を駆逐すること。それができれば正式に入団を認める。ベルリアには駆逐と監視の両方をやってもらう。それでよいな。」
しかしレイは思いがけないことを言いだした。
「いえ団長さん。七日間で遂行しましょう。」
団長は、ほう、それは楽しみだなといったが、ベルリアは呆気にとられた。
レイも何故自分がこんなことをいったのかが不思議だった。気付いたら喋っていたのだ。
まるで昔こんなことがあったような・・・・
仮入団手続きを終えて大聖堂を出た後、急にベルリアが
「何故あんなことをいったの?一日7人見つけるだけでもむずかしいのに。」
しかしレイは自信ありげに
「大丈夫さ、俺は昔どんな難しいこともやりとげてきたような気がする。でも団長さん、どんな名前なんだろ。」
ベルリアは困った顔をして
「実は団長さんの名前、誰も知らないの。この聖堂騎士団は私が生まれた年と同じ頃に結成したと聞いてるけどなにか関係があるのかしら?」
さり気なくレイに質問したつもりだったが、返ってきた内容は予想していたのと違うものだった。
「そんなことより、明日から駆逐した盗賊を数えるンだから今日はもう休もうぜ。疲れたし。」
話を聞いていないので、少し意地悪っぽくいってみた。
「休むって、レイが休む場所なんて無いよ。」
これで少しは堪えるかとおもったが、またも予想と違う答えが返ってきた。
「休む場所がないんなら俺は野宿で構わないぜ。ベルリアはどうか分かんないケド。」
ベルリアはあきらめて、救いの手を差し伸べた。
「私が野宿なんてするワケないでしょ!それとも私の父が経営しているホテルにくる?部屋はもう予約してあるから。」
ベルリアが言い終えた瞬間、息つく間もなくレイが反応した。
「そうか助かるぜ。明日はここに6時にきてくれ。」
そういうなり、レイはベルリアの持っている鍵を奪い取り走っていった。
「もう。なに考えてんだか。」
一人事を言うとベルリアも自分の家へと歩いていった・・・・
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