『赤ずきん』

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揺らめく花弁に 唇寄せ 少女は 花と共に微笑んだ   散るために咲く 愚かなる花 その儚さを 少女は嘲笑う     《赤ずきんは祖母を訪ねる  森に潜むように住まう祖母は  何故か、母の様に美しかった  紅唇歪めて祖母は笑う  恐れるものなど有りはしない  女は強い生き物なのだ、と》     祖母が語る 人の性 生まれた時より 悪を知る   知らぬ振りでは 愚者と同じ   どんな王者も 誘惑に惑い 力強くも 男は皆 愚か     「あぁ、可愛い私の赤ずきん   きっとお前は        私と同じ」     赤ずきんは知っている 狼の視線   求めるものは 血肉に非ず   赤ずきんは知っている 己の肢体   求めぬ者は 男に非ず   匂い立つ 少女の花   魔女(ソボ)の血を引く 魔女(オンナ)の力
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