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なんとなく、話の全貌が見えて来た気がした。キリエは、嫌な予感しかしない。
「さてと、行きますか」
話している内に、一際立派な家の前に着いた。赤いレンガは鮮やかで、門もまた大きく作られていた。窓からは、温かな光が漏れでている。しかし、その門には、休業中と札が掛けられていたのだった。
「あれ? ここって……」
キリエは人づてに聞いていた話を思い出した。大通りにある特別大きな赤レンガの家。キリエは、そこを目指してゼルセガイアまで来た。
「ん? キリエ、どうかしたのか?」
キリエの声を聞いた、アノが振り向く。
「なんというか、僕が来たかったのは、覚え間違いがなければ、ここ、のはずなんだよね……」
でも、主人がいないのならば、どうしようもない。キリエは落胆せざるをえない。やっと見つけた手がかりだったのだ。
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