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そう言うと、ティルは後ろを向いた。それにつられたように、リアンも後ろを見る。彼女の視界には、キリエたちが映った。
「この方たちは……?」
不審そうにこちらを伺いみる。いろいろあって、警戒心が強まっているのだろう。そう簡単に入れてくれそうにないとキリエは思う。
「あのね、便利屋ってのを、してるんだって! お父様を探してくれるんだよ!」
それでも、リアンは疑いの色を隠そうともしない。
「怪しい者ではないんです。ティルから話を聞いて、もしかしたら、力になれないかと思って、こちらまで伺ったんです」
イリーナが今までの説明をする。
アノは小さな声で、首を突っ込まなくてもいいだろと吐き捨てる。幸いなことにイリーナには聞こえておらず、キリエが僅かに拾い上げた程度であった。
「便利屋? 十分怪しいではないですか! こんなときだからって、こんな人たちまで寄って来るなんて……」
リアンは眉間の皺を濃くする。彼女の言葉に、アノがいきり立ち、口を開く。
「こっちは助けてやるって言ってんだ! まず、話ぐらい聞いてもいいじゃねえか。おい、帰るぞ」
「ええ、帰って下さい! 子供に付け込んで来るなんて、ひどいにも程があります!」
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