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「アールノさんは、やっと見つけた手がかりなんだ。だから、ここで失うわけには行かない。待つよりは……、助けに行きたい」
アノもまた耳を傾けていた。キリエは、アノに何か言われそうで、びくびくする。
「別に勝手にしな。どうでもいい」
だからこそ、肯定とも言える言葉に驚く。でも、キリエにはなんとなくその理由が分かる気がした。
「もしかしなくても、イリーナとは関係ないから?」
キリエがその理由を試しに口に出して見たら、案の定アノに睨みつけられる。
「……そうだよ。お前が野垂れ死にしようがどうしようが、どうでもいい」
いつの間にか四杯目になっている果実酒を、一息に煽る。それでも、酔っ払った様子はなく、酒に相当強いことが伺えた。
「……アノ。そんな態度はやめて。キリエは、一人で旅をしていたんでしょう?」
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