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ふ、
と我に返って顔を上げると時間が経った教室には、次第に生徒が集まり初め、ざわざわと騒がしくなってきている。
(もうこんな時間!)
時間も忘れるほど小説に浸りきっていた私は、
現実感を取り戻すために落ちつきなく辺りをキョロキョロと見渡した。
首を回して後ろを向けば、彼もちょうど机の中に写真集をしまいこみ、
ずり落ちためがねを上げているところで、それは『二人の朝のひととき』が今終わったと言うことだった。
なんか残念。
でも、まあ
明日もあるし
と顔をほころばせていると、その時ちょうど教室の戸を開けて友達の葵が入ってきた。
教室にもずいぶん人が集まってきている。
葵の方も座っている私に気がついたみたいで、目があった瞬間顔を輝かせ、手を振ってきた。
そしたらその次に葵の口が『おはよう』の形に開いて…
いや
開くか開かないの刹那。
私の肩が誰かにポンポン、
と叩かれた。
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