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「…」
「…」
ちょっと、
喋りなさいよ。
彼から唐突に名前を呼ばれて、私が返事をする。
一連の流れを終えた後なのに、何故だか声をかけたはずの彼は、私が返事をしたのを確認した後、何かを考えるように下を向いて黙ってしまった。
…埒があかない。
こうなれば此方から話しかけようと意を決して口を開いた。
「あの…」
何か用ですか。
そこまで言おうとしたのに、瞬間、彼が素早く顔を上げて、椅子にかけていた私の手をガシッと掴む。
あまりに急なことで、私の顔はヒッと恐怖に歪んだ。
ちょっ
なになになになに…!
怖い怖い
あとつかんだ手痛い!
思わず強く目をつぶる。
そしたら暗闇の中で彼の声が上から振ってきた。
「なあ、お前。言論の自由についてどう思う?」
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