朝はみちづれ

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「…は?」 反動で目を開ける。 大きく瞬きをすると、えらく真剣にこちらを見ている彼の顔が目の前にあった。 その顔を見て徐々に頭がさえてきたけど、でも一向にこの状況が飲み込めない。 とにかく私は、普段使わない頭をグワングワン回して一瞬で膨大な量の内容を考えた。 この人今なんて言った? 到底この流れでは出てこないような言葉が出てきた気がするんだけど。 でも、かなり強引な聞き間違いって可能性もあるし… とりあえず初めて会話した人に「…は?」は失礼すぎた! うん、よし! 「ごめん、  よく聞きとれなくて」 「ああ、だから『言論の自由』だよ。榎本あずさ」 …聞き間違いじゃない。 きょとんとしている…いや、呆然としている私を後目に、目の前の彼は私の目を真っ正面から見つめて喋り出した。 「世間では今何でもかんでも自由だなんだと謳われているが、言葉に関してはプライバシーやその他のことも考慮して、自由のラインがひどく曖昧だと思うんだ。自由の中でも人を傷つけてしまえば、自由ですからじゃ許されない部分もあるしな。だから、その視点で考えると俺が今から君に言うことは君にどういった感情を与えるか分からない。…だがしかし、俺はあえて君に言おう」 握っていた手が、更に強く握られる。 「榎本あずさ」 「うわぁっ、はい!」 まともに見つめていた瞳が揺れた。 「榎本あずさ。俺はお前が好きだ。」
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