*1.兎?いえ、宇崎です

23/60

32828人が本棚に入れています
本棚に追加
/682ページ
「そういや、そうだな」 「……………」 一瞬、クラッときた。 なんだか脱力してしまった涼都は、ため息をつく。 「急にどうしたの? お前」 「疲れた」 ため息まじりに涼都が言うと、宇崎は上機嫌で脱いだズボンをたたんだ……ってあれ? ちょっと待て! 「お前何してんの?! もうパンツしかはいてねえじゃねぇか!」 「だから言ったろ? これが俺の自然体だって」 「アホか! そんな格好で歩いたら、100%警察まで連れて行かれるわ! っていうか、その前に俺がお前を始末してやるよ」 言いながら、拳を静かに握った涼都に、ただならない気配を感じたのだろう。 宇崎は『待て』と切羽詰まった声を出した。 「お前、本気で言ってるだろ?!」 「当たり前だろ! てめぇのせいで4階からダイブするわ、灰になりかけるわ、学園長室にはたどり着かねぇわでこっちは大迷惑なんだよ!」 灰になりかけた以外は、宇崎のせいではないのだが。 しかし宇崎はそこを突っ込まずに、キョトンとする。 「お前、学園長室行きたいの?」 「そうだけど」 宇崎はニッと笑った。 「俺が、学園長室まで連れてってやろうか」
/682ページ

最初のコメントを投稿しよう!

32828人が本棚に入れています
本棚に追加