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学園長室は、そこまで広いというわけではなかったけれど、やはり豪華だった。
入って手前には机が縦に置いてあり、両側にソファがある。
奥の方の重厚な机に、学園長は座っていた。
その容貌は美しく、入学式挨拶で男子がざわついたのも頷ける。
しかしその顔は今、もの凄く険しいものになっていた。
(うわ、不機嫌だよ)
やはり、宇崎の言葉が聞こえていたらしい。
学園長の傍らでは、水木がヤッホーと言わんばかりに手を振っているが、とりあえずスルーしておく。
理事長である彼は、さも可笑しそうに言った。
「あはは。おっかないオバさんだって。言うよね、彼も」
ちょっとはフォローしようとか思わないのか、コイツ。
更に眉間のしわが増えた学園長に、水木は全く気にした様子はない。
学園長はため息をつくと、苦々しい様子で言った。
「まぁ、別に間違ってないですから。お姉さんと呼んで欲しいなんて思ってません」
開き直っちゃったよ。
(まだお姉さんで通じると思うけど)
何となく哀れんだ目を向けてしまったらしい。
鋭い目で睨まれてしまった。
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