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「は? あ、あぁ……そう」
儀式が終わった杞憂は、携帯片手に適当な相づちを打ちながら廊下の窓に近づいた。
「わかった。後はそっちで何とかしてくれ」
言って、電話を切った杞憂はふと、外を見やる。
窓から見える景色は、向かいの校舎と中庭だけ。
上空に広がる空は澄んだ薄い青で、穏やかだ。
「平和だな」
見た目だけは。
心の中で付け足したのは、聞かれるとマズいからだ。
桜華魔術学園。
伝統を持ったエリート学校で日本最古の魔術学園、そして、学園と外界を仕切る結界に覆われている。
全寮制の魔術学校は少なくないが、この学園のように強固な結界が張られている所はここしかない。
例え教師だろうと理事長や学園長であろうと、結界を通ることを許されるのは結界が『時と人により』通ってよいと認めた者のみである。
だからいくら卒業や長期休暇でも、そこで結界に弾かれれば例え家族の危篤だろうと出ることは出来ない。
もちろん、外からこの学園へ入ることも許されない。
それではまるで……
(籠の鳥みたいじゃないか)
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