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そして、暑苦しい…。
「見に来てくれるだけでもいいからっ!!ねっ?」
こういう必死な手合いは扱いに困る。
あまり自分の中で経験がないからだろう。
「…必死だね…」
あまりの必死さにため息をこぼしながら言う。すると山中は
「君が、欲しいからさ」
…そういうのは女子にやれ。
お前ならたぶん山ほど成功するから、と心の中でつぶやく。
「お願いっ!!!」
「…」
目を瞑り手を合わせる山中…神でも拝むかのようだ。
はぁ…面倒くさい。
だが、こっちはもうどう逃げていいかわからない。
…しかたない。
「…見に行くだけね」
「ありがとーうっ!!!」
うわっ!!!
抱きついて来やがったっ!!!キモイっ!!!
「…離れてくれない?」
極めて冷静に。けれど早く離れてくれっ!!!!!
…あぁ…周りの視線がいたい。この光景が長引けば長引くほど…
「あ、ごめん②」
…言うとすぐ離れた。
が、周りをよく見ると女子が何名かひそひそとこっちを見て話している。
…完全に勘違いされたくさい。
俺は山中を置き去りにするように早足でその場を去った。
山中はついて来なかったけど、代わりに
「放課後、部活棟の軽音楽室に来てねー!!!」
という声は俺の背中までしっかり届いた。
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