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学校とは言っても、夜間学校だ。そう。夜間中学。
僕……ケイスケ、君……ユウ、マリの三人は、中学時代にイジメを苦にして学校に行けず、中学レベルの知識を持ち合わせていない。年齢は、三人とも十八。だから、この夜間中学に入学したんだ。
進学するのも、通信制や定時制の高校になるだろう。
でも、僕らは学校に行きたいのだ。
夜間中学。
知名度が低く、好んで来る人も少ないから、僕らは三人で一クラス。
「ねぇ、しりとりしようよ」
言い出したのは、マリだった。
「良いよ! マリからどうぞ」
ユウが応じる。
こうなると僕も参加せざるを得ない。
「じゃあ、しりとりの り から。リビア」
また、微妙な国名を挙げるものだ。しかし、ユウは気にする風でもなく、ゲームを続ける。
「あ……あ、えっとねぇー、足!」
散々迷った割には、普通な単語を持ってくる。
『えっとな、 新聞紙 』
僕も人の事を言えない程にベタな単語である。
「し、し、し、し、し、島」
「ま? ま、ま、丸」
『ルール』
「ルビー!」
「え、こういう時は、び?い?」
ユウは、マリに尋ねた。
「うーん、 び にしよっか」
「うん、分かった。 び ねぇ……。ビスケット」
『トマト』
「時計」
マリが言い終わるか終わらないか。それくらいのタイミングでチャイムが鳴る。
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