歪み

3/4
前へ
/13ページ
次へ
学校とは言っても、夜間学校だ。そう。夜間中学。 僕……ケイスケ、君……ユウ、マリの三人は、中学時代にイジメを苦にして学校に行けず、中学レベルの知識を持ち合わせていない。年齢は、三人とも十八。だから、この夜間中学に入学したんだ。 進学するのも、通信制や定時制の高校になるだろう。 でも、僕らは学校に行きたいのだ。   夜間中学。   知名度が低く、好んで来る人も少ないから、僕らは三人で一クラス。   「ねぇ、しりとりしようよ」 言い出したのは、マリだった。   「良いよ! マリからどうぞ」   ユウが応じる。 こうなると僕も参加せざるを得ない。   「じゃあ、しりとりの り から。リビア」 また、微妙な国名を挙げるものだ。しかし、ユウは気にする風でもなく、ゲームを続ける。   「あ……あ、えっとねぇー、足!」   散々迷った割には、普通な単語を持ってくる。   『えっとな、 新聞紙 』 僕も人の事を言えない程にベタな単語である。   「し、し、し、し、し、島」   「ま? ま、ま、丸」   『ルール』   「ルビー!」   「え、こういう時は、び?い?」   ユウは、マリに尋ねた。   「うーん、 び にしよっか」   「うん、分かった。 び ねぇ……。ビスケット」   『トマト』   「時計」   マリが言い終わるか終わらないか。それくらいのタイミングでチャイムが鳴る。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加