歪み

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先生が扉を開けて入ってくる。どこか浮かない表情である。   「先生、ケイスケ来てないけど、どしたの?」   君は、突然言った。   『何言ってんの?』   僕の問いかけには、誰も答えてくれない。 その代わりに、先生が口を開く。   「あぁ、今、親さんから連絡が入ってな。昨日の帰りに交通事故に遭って、危篤状態らしい。下手をすると命に係わるとか……」   『え、先生まで何言ってるんすか?』   言い放ってから僕は追想する。 ……………………     あ。   そうか。     違うんだ。     僕はここには居ないんだ。     戻らなくちゃ。     『体』に。
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