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「中々、やるな」
「馬超殿こそ」
やっと、目を合わせてくれた。
思い込みかもしれないが。
二人は蒸し暑さに耐えかね、休憩をとることにした。
鎧を脱ぐと、力の割には関羽や張飛といった如何にも強そうな大柄な方ではなく、どこにそれだけの力が有るのかと疑いたくなるような、決して細くはないがそう見えない体つきをしていた。
まるで余分な物は全て落としたような、無駄一つない肢体。
「此処は…蜀は雨が多いのか」
見とれていた趙雲は慌てて、ふと空を見上げると少しづつ雲が太陽を隠していく。
「そうですね。それが蜀漢が恵み豊かな"天府"と云われる所為ですが」
「そうか…」
「俺の育った場所は、何処までも広がる平野と、青い空があって」
唐突に馬超は語り始める。
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