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『コイツだ!!違いない!!』
そこにはかなりの大きさの馬が立っていた。
ただ大きいと言う訳ではない。大きい割には太っていなくて、引き締まった体であった。鬣は長年切ったりという事はしていないため長かった。全身漆黒の体をしているためかなりの威圧感があるのだった。
慶次はその巨馬をまじまじと眺めた。よく見るとその巨馬には幾つもの傷痕が残っていた。
それは刀のような切り傷や槍の刺し傷や鉄砲の打ち傷などもあった。中には狼に襲われた傷痕もあった。それを見た慶次は「お前はいくさ好きなのだな。俺もいくさが好きだ。」と言い羽織を脱ぎ体を見せ始めた。
巨馬は片口の銃創の臭いを興味深く嗅ぎ始めた。中には弾が残っているため巨馬はいけ好かないと言うかのような様子だった。
慶次は心底痺れてしまった。まるで娘に恋をしているような感覚的であった。
「俺はお前が好きだ。俺を乗せてくれまいか?」とその時、馬に頭を下げたのだった。
だが巨馬はその話に興味無さそうにそっぽを向いてしまった。
ふと周りを見渡すと周りには馬の群れが悠々と草を食べていた。全て親分に任せた、と言うような安心しきった雰囲気が辺りを漂っていた。
その親分は今慶次の目の前にいる。
慶次は考えた。
(怒るかな?いや!!怒らないだろう!いゃやっぱり怒るだろうなぁ?)
慶次は「お前は怒らないよな?だって俺はお前が好きだから!」っと巨馬の背中に飛び乗った。
馬はビックリした。それはそうだろう。今まで背中に物や人は乗せたことがないからだ。
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