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この世で僕は常に煙たがられていて、ジェシカと結婚の約束をしてはいても資産家の彼女の両親からはひどく嫌われていた。
なんの取り柄もない僕だから仕方ないで割り切れればいいのだけど、ジェシカが不幸になるように思えて僕にとっては耐えがたかった。
自殺はしない。彼女がこれ以上不幸にならないようにそう心には決めていたけど、事故死や病死であるならあるいは彼女は親の元に戻ることができる。
それならそれでいいと思っていた。僕は、僕自身を諦めていた。
「でも僕は目を覚ました。心配かけたな。もう置いては行かないよ」
なによりも僕が希望を導き出せたのはのはバイオレットそしてジェシカ、君のその強い思いが僕に伝わったからだ。
君の声はちゃんと僕に届いていたよ。
ありがとう。
ベッドの横に置かれているスミレの香りが僕とジェシカを包みこんで、僕はもう一度強く彼女を抱きしめた。
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