『絶望』

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空がまた淀んで、紫がさっきよりもいっそう濃くなり焦燥のような不安が流れ戻ってきたのを感じた。 それに捕われてしまえばもう帰ってこれないような気がして闇雲に走りつづける僕は止まることができずに、考えることもできずに。 「僕にはそれが何なのか分からない!」 そう叫んだのか思ったのか、淀みはもうすぐそこまできていた。 「分かっている。あなたは分かっているの。信じることができないだけ、それを捨ててしまっただけ。怖がらないで信じて」 淀みが僕を包み込み、再び僕には何も見えなくなった。 水の中にいるような苦しさと、感じる無力。僕自身を信じることができなくなったのはいつのことだったか。いや、僕は過去のことなど何一つ覚えていないはずだ。 それは分かっているが、あの女性とは違う泣き声が僕の中で小さく鳴り響いた。 守らなければいけないものがたしかにそこにあった。分からないがその声は僕にとってすごく大切なもの 君に会いたい、この声に会いたい。 信じるべきもの。僕が捨ててしまったもの。 それは……
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