『希望』

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「生きていたって仕方ない」 そう口ずさんでいるのは確かに僕だった。そう思っているのは確かに本心だった。 「僕は君を不幸にしかできない」 希望とはかけ離れた皮肉や苦しみ。頭を抱えるほどに生きていることが僕にとっては分からなかった。 そして僕が確かにはっきり記憶した最後の光景は、朝に目が覚めて洗面台の前で歯を磨いている僕自身だった。 そしてこのとき僕は体全体に電気のような感覚が駆け巡り胸が締め付けられるように苦しくなってその場に倒れこんだ。 そうだ。僕は死んだ。 「お願い死なないで!」 全ての記憶、ヴィジョンが消え失せそれを理解し受け入れた時またバイオレットとは違うあの声が聞こえた。 そして一瞬間の無の静寂が僕を包み込んだ後、僕は目を覚ました。
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