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リッチ「ハァ、ハァ、デューク、強えぇ」
デューク「見た所、君の最大の武器はスピードだ。確かにスピードだけならかなりのレベルだが、残念だがそれだけで僕に一本入れることは不可能に近い。」
既に息があがっているリッチと、ほとんど疲れを見せないデューク。
無理もない。スピードでリッチが勝っても、剣技ではデュークが勝り、リッチの攻撃が当たらない。
そして小柄なリッチに比べて、デュークは180センチ近い。一撃が重く、木刀が交わるたびにリッチの体力はごっそり奪われていく。
剣術・体力・機転が試験には必要と言われているが、剣術も体力もリッチはデュークに遅れをとってしまったようだ。しかもデュークは片手……
デューク「君はそこら辺の塵よりは腕がたつな。だが僕にはまるで劣る。ここで諦めたらどうだ?」
リッチ「うっせーな、やってやるってんだよ!」
リッチは力任せに後ろにバックステップ、着地と同時に前に出て、思いきり払う!さすがのデュークもこれだけ見事な攻撃にカウンターを取れるはずがなく、受け流す。
ガイン!
木刀がぶつかる音がして、リッチはジャンプしていた。デュークに受け流される反動を利用してデュークを飛び越えたのだ!
デューク「僕を飛び越えてなんになる?」
デュークは振り返ると、リッチの背中があった!
しかしその背中は5メートル先!リッチは着地と同時に走って逃げるたようだ!
デューク「間を取る気か。だがお前の思惑には乗らん!」
デュークはリッチを追い掛ける。
リッチ「剣術・体力で劣るんなら、機転って奴で、デュークに勝ってやる!」
デューク「何をするつもりだ!この何もない部屋で、機転を効かせた策など、思い付くはずなかろう!」
リッチ「とりゃ!」
リッチは突然半回転しながら横に飛ぶ。着地と同時にデュークの方を向く形である。
デューク「着地の瞬間が君の最後だよ」
デュークは突きの構えをする!
だが、信じられない光景を目にした。
突然リッチの姿が消えたのだった……
デューク「チッ。その手できたか。めんどうなことを!」
全く何もない部屋。隠れる場所もない。
普通ならそう考える。だが、たった一つ、隠れられる場所があったのだ!
試験開始から、一歩も動かない、ほとんど気配すら感じさせない、試験の教官の影に……
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