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教官の陰に隠れ、元々体の小さなリッチは完全に見えない。これではデュークも前に出辛い。
この教官は、受験生の機転を見るために、障害物としての意味も存在する。リッチが後ろに隠れても、教官は全く動かない。過去の試験でも、教官に隠れることに気付いた生徒も何人もいた
リッチは剣技・体力で劣るなら、機転で勝つしかない!
デューク「さて、どこから現れる?」
こういう場合、先に動いた方が不利。とはいえ、先に動いた方が相手の予想外の動きして、虚をついてうまく動けば、実力に多少の差があっても勝てる可能性がある
そんなデュークは受けに回る!右から来ても、左から来ても、教官を飛び越えて上からきても、対処出来る!
デューク「どこからでも来い。実力の違いを見せてやろう」
リッチ「いくぜ!」
リッチは教官からひょっと出てきた!
デュークの予想外の場所、教官の股を抜けて、下から!小柄なリッチだからできる動き!
デューク「なんだと!」
リッチ「くらいな!うらぁ!」
リッチは股下から突き上げる!
ガン!
デュークの木刀は、リッチの頭に思いきりヒットした!
リッチ「くっ、いってぇ!」
リッチは頭を抑えて、痛そうなそぶりを見せる。
教官「そこまでだ。これにて一次試験終了」
リッチ「いてて。なぁデューク、なんでおいらが股下から出るってわかったんだ?」
完全に虚をついたはずなのに、反撃されて負けてしまったリッチがデュークに問う。
デューク「……股をくぐるのは予想してなかった。ただ、認知してからの僕の反応速度が早かっただけだ。力の差だ……」
リッチ「へへ」
おわっちまった
それがリッチの思ったことだった。
マリアンヌとの特訓
ジニーとの約束
パークとの出会い。
リッチにはどれも無駄には思えない
だが、ここで負けた。シェンザ高校に入ることは出来なかった
教官「では、合格者はデューク・カウフマン、リッチ・カルダス。以上二名とする」
リッチ「……へ?」
突然の合格通知、リッチは拍子抜けた。
教官「最後まで残った者は合格とは言ったが、誰も勝ち抜いた者だけを合格にするとは言っておらんよ。前から言うように、体力と剣術、それに機転だ。備わっているなら合格だ。最初からそう言ったら、真剣に戦えないだろう?」
リッチ「そ、そうなのか……」
リッチの微妙は笑顔を浮かべた
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