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一次試験、剣術科の受験生の中でも一番最初に受けたリッチは、時間が余りまくっていた。昼休みも含めて、三時間近くは待たねばならない
その間に考えていた。パークのこと。デュークのこと……
恐らくリッチは、パークをかばった時に、デュークに勝っていた場合、パークにはわざと負けていたかもしれない。病の母のために戦うパークに、剣をつきつけるなんて、リッチにはできない……
デュークにも力不足で勝てなかった。
自分にはこの道が向いてないんじゃないか?パークを倒すことも、デュークに勝つことも出来ない自分に、受験資格はないんじゃないか?
そんなことを考えていた
ジニー「あ、リッチ」
リッチ「お、ジニー」
たそがれるリッチに、ジニーが近寄る
ジニー「一次試験はどうだった?」
リッチ「落ちた」
ジニー「あらま」
リッチ「嘘。受かったよ」
ジニー「あらま」
リッチ「リアクション同じかよ!どっちでもいいのか?」
ジニー「受かるって信じてたもん」
リッチ「ジニーは?」
ジニー「落ちた」
リッチ「ぬぁにぃぃぃぃぃーーー!」
ジニー「嘘。受かったよ」
リッチ「ハァハァ。び、びっくりしたよ!」
ジニー「あわてんぼうさん」
ジニーはまた笑う。まるで感情を表に出さないジニーが、唯一笑える場所がリッチの隣
ジニー「誰に負けたの?」
リッチ「な、なんでおいらが負けたってわかるんだよ?」
ジニー「長い付き合いだから」
リッチ「俺はジニーのことわかんないぞ?」
ジニー「それはリッチが馬鹿だから」
リッチ「ちがわい!ジニーがポーカーフェイスすぎるんだぃ!」
いつもそうだが、リッチじゃジニーに勝てない。ジニーはリッチにとって絶対的存在……
リッチ「……そっか。おいら、わかっちゃったかも」
リッチは、自分が冒険家になり、ソウル・ジュエルをさがしだしたい理由を思い出した。
それは、ジニーにソウル・ジュエルをプレゼントするため
魂を呼ぶ戻すという伝説の宝石ソウル・ジュエルを、ジニーに渡す。過去に、ジニーにしてしまったひどいことの償いのためにも、ジニーに渡さねばならない
自分にも、パークに負けない理由があるし、いつか強くなる
リッチ「ジニー。二次試験頑張るよ。」
ジニー「ふっきれたみたいだね。でも二次試験って剣術科と魔法科のペア戦闘だよね?リッチと敵になったら面白そうね」
リッチ「なりたくねぇって」
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