入試奮闘編1 リッチとジニー

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リッチ「しっかし今の野郎、真似しやがってむかつくなぁ」   リッチは顔をぷくーっと膨らませながら言う。   ジニー「真似かどうかは別として、確かに偉そうな人ね。でも、デュークさんもミアさんも基本的にはいい人だと思うな」 リッチ「そうか?女はともかく、あのデュークって野郎はムカつくだけなんだぜ?ちゅーかそういやジニー、どうして喧嘩とめなかったんだ?いつものジニーなら止めそうだったのに、ちゅーか止めると思ったからつっかかったのにさ」 ジニー「だってなんだか面白そうなんだもん」 リッチ「面白そうってだけで、おいらが受験資格失ってもいいのかよ?」   普段はポーカーフェイスで感情を表に出さないジニーがニコーッと笑う。ジニーはこの笑顔を、リッチの前以外ではしたことがしない。   ジニー「うまくすれば、相手を倒して、受験者が一人減って、リッチの合格枠が広がる?とか?」 リッチ「しゃれなんねーって」 ジニー「ふふふ。じゃあ魔法科受験会場はこっちだから、リッチ、ちゃんと合格しなさいよ。」   別れ道で、ジニーは右に走り出す。 「←剣術科 魔法科→」 という看板を見たのだろう。   リッチ「へぃへぃ。ジニーもサクッとやってこいよな」 ジニー「勿論」   曲がり角で、リッチとジニーは別れた     ジニー「貴族長カウフマン家の次期当主、デューク・カウフマン。それに舌切り雀の異名を持つメリーウェル家長女、ミア・メリーウェル。あの二人が一緒の学校なんだ」   ジニーはリッチを止めなかったのは、面白そうだからではない。多少面白そうなのもあるが、本当の理由は別にあった。 その理由を隠し、顔色ひとつ変えずにリッチをだましたのだ。余計な心配を、試験直前にリッチに変な動揺を与える必要はないから。   ジニー「止めれなかったのは、仕方ないよね。それにしても、リッチとデュークさん、ミアさん。みんな合格出来たらいいな。また面白くなりそう」   ポーカーフェイスのジニーが、また少し笑った。
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