115人が本棚に入れています
本棚に追加
/257ページ
リッチ「しっかし今の野郎、真似しやがってむかつくなぁ」
リッチは顔をぷくーっと膨らませながら言う。
ジニー「真似かどうかは別として、確かに偉そうな人ね。でも、デュークさんもミアさんも基本的にはいい人だと思うな」
リッチ「そうか?女はともかく、あのデュークって野郎はムカつくだけなんだぜ?ちゅーかそういやジニー、どうして喧嘩とめなかったんだ?いつものジニーなら止めそうだったのに、ちゅーか止めると思ったからつっかかったのにさ」
ジニー「だってなんだか面白そうなんだもん」
リッチ「面白そうってだけで、おいらが受験資格失ってもいいのかよ?」
普段はポーカーフェイスで感情を表に出さないジニーがニコーッと笑う。ジニーはこの笑顔を、リッチの前以外ではしたことがしない。
ジニー「うまくすれば、相手を倒して、受験者が一人減って、リッチの合格枠が広がる?とか?」
リッチ「しゃれなんねーって」
ジニー「ふふふ。じゃあ魔法科受験会場はこっちだから、リッチ、ちゃんと合格しなさいよ。」
別れ道で、ジニーは右に走り出す。
「←剣術科 魔法科→」
という看板を見たのだろう。
リッチ「へぃへぃ。ジニーもサクッとやってこいよな」
ジニー「勿論」
曲がり角で、リッチとジニーは別れた
ジニー「貴族長カウフマン家の次期当主、デューク・カウフマン。それに舌切り雀の異名を持つメリーウェル家長女、ミア・メリーウェル。あの二人が一緒の学校なんだ」
ジニーはリッチを止めなかったのは、面白そうだからではない。多少面白そうなのもあるが、本当の理由は別にあった。
その理由を隠し、顔色ひとつ変えずにリッチをだましたのだ。余計な心配を、試験直前にリッチに変な動揺を与える必要はないから。
ジニー「止めれなかったのは、仕方ないよね。それにしても、リッチとデュークさん、ミアさん。みんな合格出来たらいいな。また面白くなりそう」
ポーカーフェイスのジニーが、また少し笑った。
最初のコメントを投稿しよう!