フェイズ・2

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 ロリータが住む『落日都市』は北アメリカ大陸西海岸沖に位置するFR‐08が所有する円盤状の都市だ。  オフィスと社宅を兼ねる海上都市の地面にあたるプレートは海面から約百メートルの高さに固定されており、扇状の12のセクターに区画分けされている。  都市中央には落日都市と大陸の間の人の輸送のほぼ全てを担うマリン・エクスプレスがあるセントラル・ステーションがあり、そこから外側に向かってリング状に、オフィス・トラック、居住トラック、商業トラックと区画分けされており、海に面した円周の部分はほぼ無人のプラント・トラックとして倉庫や工場、ジェネレータやコンデンサ等で占められている。人の往来に関してはオートメーションのリニア市電が都市全体に血管のように張り巡らされており、臨時の貨物輸送や緊急車両以外で自動車に乗る者はいない。  そして、FR‐08が経営する学校『落日都市セクタースクール群』がセクター毎に配置されており、ロリータ達はセクター7にあるセクター7スクールの7年生だ。  既に40人程のクラスメートの大半が集まっている階段状の講義室にロリータと子子が入り、クラスメートと簡単に挨拶を交わす。 「昨日の女子フットボールの中継、見た?」 「見た見た!」女子フットボールファンのコレット・メルセンヌの質問にロリータが飛び付く。「マンハッタン・リトルガールズのQBのクリスティーンがまたMVPだったよねー!」ロリータが笑顔になる。 「私も見た!」と子子。「リトルガールズ強いよねー」 「RWのジェニーの脚もすごいよ。昨日は30ヤード以上走ったのにはびっくりしたよ」コレットが付け加える。 「私は十分遅れで観てたけど、危ない所だったよ」とロリータ。ゲームの動画は後からいくらでもダウンロード出来るが、リアルタイムでわくわくしながら見るのと結果の判っているゲームを見るのとでは天と地程の差がある。
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