フェイズ・2

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 やがてギャラントは電脳暦紀元前に『死んだ』とされ、棺桶に突っ込まれた音楽ジャンル、ヒップ・ホップの存在を偶然知る。  もはや死んだとして世の中の関心事から消え去っていたヒップ・ホップは法律や権利からも見離されており情報の入手やコンテンツのダウンロードが容易で、さらにリズムに合わせて身体を動かすダンスが子供の音楽感と身体を結び付け、身体を使って表現をする事が感性を豊かにする事に貢献出来ると思ったのだ。 面白そうだと言って賛同した四人の生徒はそれぞれ音楽やダンス関係の古いデータベースからブガルーやブレイキング等のダンススタイルをサルベージし、自分達で工夫してダンスの振り付けに組み込んだ。 「ヒアウィーゴー!ファイブ、シックス、セブン、エイト!」 ポップなリズムの音楽が流れ、少女達が自ら研究の成果を活かしてセッティングした振り付けに合わせて踊る。全身でリズムに乗る躍動感溢れる挙動を自分達で工夫し身体を思い切り動かす。ギャラントはリズムに合わせて手を叩きながら、これが間違いなく子供に必要であるという確信と自信を持った。 バスケットボールをプレイしている生徒もゲームの合間に少し手を休め、四人のダンスを見ている。 「あなた達もやらない!?」 ギャラントは大声で誘ったが、誘われた生徒は苦笑いしてゲームに戻った。
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