ロリータの肖像／電脳戦機バーチャロン

フェイズ・１

バーンは方眉を上げたが、教壇に立ちコンピュータの出席確認ルーチンを走らせた。講義室のメインエミッタと生徒のデスクのエミッタが起動し、近代において地球圏と呼ばれる地域、いわゆる地上、軌道上、月面の地図をホログラムで投影する。講義は電脳暦紀元前の限定戦争の起源についてだ。
ロリータはクリストファー達ウォージャンキーの方をちらっと見た。退屈そうにしているウォージャンキー達は、基本的に限定戦争の興りの歴史的因果関係には興味が無いようだった。
『あいつら、結局デカいロボットがボカスカ殴り合ってるのを見るのが楽しいだけなのよ』
　ロリータのデスクのコンピュータに子子からの内緒のメールが届く。
『ガキだね。頭の中が原始的』とロリータ。
『原始的な奴らだけど、火を恐がらないだけマシかな（笑）』子子からの返信。その直後、二人のデスクに『君たちは火の他に居残りも恐がらないようだな。後で職員室に来なさい。　fromバーン』とメールが届き、ロリータと子子は顔を見合わせた。