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「オットー、それやめてって言ってるでしょう?」
ダイニングで朝食をとりながら映話で妻の弟であるバート・バート・バートと話していたオットーに、妻のナンシーが言った。
「かかって来たんだからしょうがない。それに明日からまた暫らく地連ターミナルに泊まる予定だからあまり話せないだろう?今日は珍しく自宅でアクセスするだけで済む業務だからな」オットーは言い訳がましく言った。ここで言う地連とはオットーが勤めている限定戦争代行企業『DNA』の『落日都市地方連絡部』。新隊員募集事務所がある部署だ。
「そうじゃなくて口癖よ。DNA以外の人に『了解』って言うのやめて頂戴。セクター7で『FR‐08』の社員じゃないのはあなただけなんだから。近所にうちが戦争業者の社員だって事、強調しないで」FR‐08とは企業国家『第8プラント・フレッシュ・リフォー』の通称だ。かつて企業国家『DN(ダイナテック・アンド・ノヴァ)社』傘下の八大自治プラントの一つだった事から、社名の頭に番号がついている。
「相手はバートだ。別にかまわんだろう」
「口癖になったらよそでも使うかも知れないでしょ?普段からつつしんでよ」
「なんだ?ナンシーか。やかましいのは」ホログラムで表示されたバートがぼやく。一つ目のバートはファーストネーム、二つ目のバートはミドルネーム、三つ目のバートはファミリーネームだ。
「バート、朝から下らない事で映話しないで。映話、オフ」
「会話が終了していないようですが」ナンシーから命令を受けた頭脳家屋式のホーム・マニューバー『WW‐HM‐0011』が質問を返す。家屋の電気的システムは映話も含めWW‐HM‐0011が支配している。家屋全体がロボット・メイドになっているのだ。
「いいのよ。オフ」
WW‐HM‐0011はナンシーのコマンドに従い、映話のスイッチを切ってしまった。こちらの問題が解決するとナンシーの矛先がオットーと同じくテーブルで朝食をとっているロリータに向き、「ほら、LT、口が止まってるわよ!学校に遅刻するわよ!」と怒鳴った。
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