青春の始まり。

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『印象に残る事って言ったら…アレしかねーだろ。』 僕には海苔雄の言っている、"アレ"が分からなかった。 『アレってなんだよ?』 海苔雄は一瞬クネクネしてから、 『アレって言ったらアレだよ!』 海苔雄も分かってなかった。 僕は、 『なんだよ、お前もアレなんて分かってないんだろ?』 と、揺さぶりをかけてみた。 すると海苔雄は、 『なんだと!このウンコ野郎!お前は分かんのか‼‼』 と言って、僕をボコった。 そう、殴ったとかそういう軽いヤツじゃなくて、文字通りボコボコにボコられた。 この時、僕は巷で噂になっている安倍総理の事を考えた。 安倍総理は、美しい国日本を作り上げるため、内閣総理大臣に就任した。イヤ、そのはずだった。 しかし、どうだろう。彼がしていった事は、その言葉とは無茶苦茶に矛盾した事だったのではないだろうか? 今のこの状況は、まるで今の日本を象徴しているように思えた。 きっと海苔雄はそれを僕に教えてくれていたのだ。そう思うと僕は、ボコられる事が嫌じゃなくなった。むしろ気持ち良くなってきた。 しかし、このままでは周囲の人々の注目を一身に浴びてしまう。やはりそれは避けたい。 僕は言った。 『海苔雄!やめてくれ!!これはおかしい!でもやめないでくれ!』 僕の言動の方がよっぽどおかしかった。 『何を言っているんだコノヤロウ!このっ‼このっ‼‼』 海苔雄はどんどん殴ってくる。次第に意識が遠のいていった。目の前が真っ暗になって、白い光の柱が見える。光の柱の上から、柔らかそうな羽の生えた天使みたいなハエが飛んできていた。 『ここは…?』 目を覚ますと、心配そうに僕を見ている海苔雄と、その向こうでゲラゲラ笑っているオバちゃんがいた。 『保健室だよ。あの後、ここの先生が通りかかって、ここに連れてきてくれたんだ。』海苔雄は正気に戻っていた。 オバちゃんはまだ笑いが止まらないようだ。 『あのオバちゃんは?』 僕は聞いた。 『保健室の先生だって。僕らが連れて来られてからずっと笑いっ放しさ。』 何故オバちゃんが笑っているのかは良く分からないが、とりあえず僕は今日が何の日かやっと思い出した。 『あっ!今日は入学式じゃないか!早く行かないと!ほら、行くぞ海苔雄!』 海苔雄はやけに落ち着いている。 『どうした?早く!』 僕は焦っていた。 『辰夫、時計を見てみろよ。』
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