出会い

4/5
前へ
/24ページ
次へ
「助けてくれ!」 少年が飛込んだのは探偵事務所、探偵なら金さえ払えばなんとかしてくれると思ったからだ。   中に入ると優男がにっこり出迎えた。 「いらっしゃいませ」 その男はいきなり少年をクローゼットの中に押し込んだ。 「何すんだよ⁉」 「しっ、静かに…」 男はクローゼットのドアを閉めた。 バタバタと足音が聞こえる。 (奴らが来たんだ‼) 少年は息を殺した。   バンッと事務所のドアが開かれた。 黒いスーツをビシッと着こなした男達が数人入ってくる。 少年はクローゼットの僅かな隙間からそれを覗きこんだ。   「いらっしゃいませ」 事務所の男がにこやかにスーツの男達を出迎えた。   スーツ男の一人が事務所の男を見据えた。 「…突然すみません、ここに少年が飛込んで来ませんでしたか?」 スーツ男は冷静な口調で尋ねた。   「はい、先ほど窓から隣のビルにうつっていきましたよ」 事務所の男は開け放たれた窓とそれに続く足跡を指差した。   スーツ男達は一礼すると事務所から出ていった。 少年はホッと息をついた。
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

55人が本棚に入れています
本棚に追加