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「助けてくれ!」
少年が飛込んだのは探偵事務所、探偵なら金さえ払えばなんとかしてくれると思ったからだ。
中に入ると優男がにっこり出迎えた。
「いらっしゃいませ」
その男はいきなり少年をクローゼットの中に押し込んだ。
「何すんだよ⁉」
「しっ、静かに…」
男はクローゼットのドアを閉めた。
バタバタと足音が聞こえる。
(奴らが来たんだ‼)
少年は息を殺した。
バンッと事務所のドアが開かれた。
黒いスーツをビシッと着こなした男達が数人入ってくる。
少年はクローゼットの僅かな隙間からそれを覗きこんだ。
「いらっしゃいませ」
事務所の男がにこやかにスーツの男達を出迎えた。
スーツ男の一人が事務所の男を見据えた。
「…突然すみません、ここに少年が飛込んで来ませんでしたか?」
スーツ男は冷静な口調で尋ねた。
「はい、先ほど窓から隣のビルにうつっていきましたよ」
事務所の男は開け放たれた窓とそれに続く足跡を指差した。
スーツ男達は一礼すると事務所から出ていった。
少年はホッと息をついた。
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