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──その後
マキは雪春になぜ旅をしているのか、どこから来たのか、目的はあるのか、と散々質問していたが、いつもごまかされていた。ただ旅がしたかったのだと、雪春はいつもそう答えていた。
あれからまたいくつかの町や村を回って、今にいたる。
「マキさん、行きましょうか」
まだ起き上がっていない雪春はそう告げる。マキは一度大きく背伸びをしてから答えた。
「…そうね」
お互いのことは詮索しない。いつの間にかそれが二人の間で暗黙の了解となっていた。
時は戦国末期。
偶然出会った二人はすでに逃れられない鎖に捕らえられていた。
そう、お互いの背負う宿命という名の鎖に…。
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