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会社の休憩中、家に帰ってから、一人で泣いた。
別れてから半年たって参加した友人の誘ってくれた飲み会で、友人に話して泣いた。
いわゆる合コンだったが、その日会ったばかりの男の子達もみんな励ましてくれた。
男の子のうちの誰かが「大丈夫!きっといい人に会えるよ!」
と明るく言った言葉が温かかった。
その日はみんなが温かく心にしみた。
そんな風にして少しずつ私は元気を取り戻していった。
それからしばらくして彼氏も出来た。
お酒が好きでお洒落でかっこいい人だった。
友人は皆羨ましがった。
彼は私を愛してくれたが、数か月で別れてしまった。
たぶん私が十分に彼を愛していなかったせいだと思う。
好きになってくれる人は他にもいたけど、自分から好きになれずにいた。
付き合ってもまた相手を傷つけてしまうのじゃないかと、誰とも付き合えずにいた。
もしかしたらもう誰も愛せなくなってしまったのか…
そんな気さえした
もともとお酒は好きだったが、夜はよく飲みに出かけるようになった。
飲みにいくと気持ち良くなり孤独感が消えた。
飲むと誰とでも仲良くなる質で、飲み友達も多く出来ていった。
夜は私にとって長く辛いものから、短く楽しいものへと変わっていった。
仕事にも意欲が出て来たのもそんな頃で、単調だった事務の仕事を辞めて今の人材派遣会社に入った。
バリバリ働かせてもらえるので、それまで感じたことのないやりがいを覚えた。
「仕事が楽しい!」
そう心から言えるようになって、仕事もプライベートも充実していった。
仕事に没頭するうち、恋人がいないことも気にならなくなっていった。
恋愛のことなどに時間を割くのはもったいないとさえ思い始めていた。
取引先にいそぐ横断歩道で、手をつなぐカップルも暑くらしく感じ、書類の入った重い鉛のような鞄をギッと恨めしく握り直した。
それでも時々、過去を思い出すことはあった。
まるで切ない夢を見ていたかのように……
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