第一話*先生が、あんまりにもかっこ良いから

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第一話*先生が、あんまりにもかっこ良いから

    「せんせー!」   「あぁ、お前か…。どうした?麻生。」   「あ、苗字呼び禁止!名前で呼んで?」   「……無理だ。」       俺は麻生 柚杞(あそう ゆき) コンプレックスは女の子みたいな名前と女の子みたいな顔! ピチピチですべすべお肌の17歳でーす☆ …え?自分で言うなって? 良いじゃん!誰も言ってくんないんだしぃ~。 好きな人は渋谷 雅寿(しぶや まさとし)先生!ウチの学校の養護教員なんだ 一応、恋人同士なんだけど…俺の一方的な告白で始まった関係なので先生はそんな事思ってないんだろうけど。 …って誰に言ってんだ、俺。     「…生、…麻生?」   「え…うわ!」   「…何を呆けているんだ?」   うつむいてる俺を、上目使いで覗き込みながら、顔を近付けてくる。   「え、あ…。何でもない!」   「ならいいが…」   パッと立ち上がり、顔を離す 俺はその胸の高鳴りが止まらなくて。   「じ、じゃあ!先生、さよなら!!」   赤らんだ頬を見られたくなくて、陸上部顔負けの逃げ足で部屋を出た。   「あそ……?…全く、落ち着きがないな、柚杞は…」   愛しそうに柚杞の後ろ姿を見つめ、雅寿は苦く笑った。   「…可愛いなあ…」   背後で妖しく笑う先生に気がついてない柚杞は、顔が真っ赤に熱った理由を雅寿のせいにしてただただ走った。   (あんなの反則だよ…っ。先生があんまりにもかっこ良いから!)            
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