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弓槻は片手を目の高さまでゆっくりと上げると、柔らかく…
重力玉に触れた。
《グラビテーション》の発動圏内には、3Gから4Gの負荷がかかる。
体重60キロのやつが全身入れば、180から240キロの負荷がかかる計算。
しかし弓槻は。
重力玉に手を突っ込まず、外側に触れただけ。
あれじゃ負荷は…
かからない。
「オレがお前の能力に手も足も出ないだと?
美南」
重力玉の黒い視界の向こうで弓槻が嘲るのが聞こえる。
「甘く見んなよ。
伊達や酔狂で副部長同等権持ってる訳じゃ――」
……おれは、動かしてない。
「ねぇんだ」
重力玉は意思で多少動かせる。
が、違う。
弓槻…!
重力玉を『撃ちやがった』…!
重力玉の元々の質量はゼロ。
故に、他の重力玉に当たったところで軌道は変わらない。
その上、おれとホワイトを守るように配置したせいで、距離が近い。
避けられね――
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