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「原因は明らかにさっきの爆発だけど、復帰する様子が全然ない……
基地局でもあったのかな?」
「知らん」
俺は再度辺りを見渡してから、最後に消し飛んだ『元』壁面を注視する。
本部ビルのときのような『壊死』でもなく、《イレイザー》のような『消滅』でもなく、《クラッシャー》のような破砕でもない。
工事用の重機でこそぎとったかのような跡だ。
「これが何だか分からないか?」
考えを巡らせながら穴の淵。
ついてきた豊田へ名指しで尋ねてみるも、唸り声をあげて液晶を叩くだけ。
駄目か。
「電波がないせいでどこのデータベースにもアクセス出来ないし、《ピカレスク》は演算処理用の『能力』だからHDDを積んでる訳じゃないからログもポートもクッキーもないしそれに」
「分かった」
分かったから黙れ。
話が専門分野にいつ飛躍するか分からない。
とりあえずデータを取るように言いかけて、データを取っても保存がきかないことを思い出して舌打ち。
こいつの能力にこんな穴があるとは。
「目立った特異な痕跡も証拠もない。
この穴は放っといて発生源を探りに行く」
「発生源って……」
眉を潜める豊田に、顎でしゃくって指し示す。
「ラスボスのところ以外にあるか」
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